023. 読書記録「汝、星のごとく

2025.2.16

 『汝、星のごとく』(凪良ゆう)の読書記録です。


 あらすじ。主人公は瀬戸内の高校生、暁海。父親は不倫で家に帰ってこなくなり母親は不安定。そんな彼女が、京都からの転校生である櫂と仲良くなる。彼は父親がおらず、母親は幼い頃から男性に依存しては捨てられることを繰り返していた。互いに親が親として機能していない者同士惹かれあい、気づけば恋人同士になっていた。

 櫂は小説を書き、ネットで知り合った友達がそれを漫画にして、商業誌デビューを目標にしていた。そして高校卒業後は上京することに。一方暁海は、元々自宅から通える範囲の地方の大学に通う予定だったが、櫂に合わせて上京を考えるように。しかし、結局母親を置いては行けず、地元で就職することになってしまった。

 遠距離恋愛となった二人。数年のうちは良かったが、やがて櫂の作品がヒットし、二人の生活はすれ違っていく。良くも悪くも変わることのない地方の生活と、良くも悪くも変化の多い東京。二人はお互いを思っていながらも通じ合うことができなくなってしまい、別れることに。

 そのうちに櫂は、漫画製作の相方の行動がネットで叩かれたことにより作品が打ち切り、堕落の道へ。一方で暁海は、高校時代から助けになってくれた恩師と結婚することになった。恩師とは恋愛感情での結婚ではなく、互いに残りの人生を助け合う「互助会」としての結婚だった。

 暁海の結婚の知らせは櫂にも届いた。漫画の打ち切りですっかりやる気を失った櫂は、暁海の結婚の知らせでさらに意気消沈。漫画のヒットにより稼いだ金も尽き、不摂生から胃がんを患う。入院同意書が母親の元に届くことで、暁海も彼の病を知る。

 最後は暁海が上京し、櫂と残り僅かな時間を過ごすことに。やっと本音で話すことができるようになり、親の縛りからも解放され、櫂が亡くなるまで幸せな時間を過ごすことができた。


 ただの恋愛小説なのかな……と思って読み進めていましたが、恋愛のみならず私生活もずいぶん拗れて重く、後半は二人のすれ違いやもどかしさで一気読みして、最後の展開には泣いてしまいました。なのに、読み終わったら肩の力が抜けてスッキリした感じ。あらすじだけで表現はできないですが、二人ともいわゆる「毒親」育ちで、特に暁海は地方の狭い島に残ったこともあり、女性特有のステレオタイプに縛られたり周りの目に苦しんだ経緯があります。二人はたくさんのものを諦め、スタートラインがほかの人よりも遠い場所にありながら、一方で自分の力で生きていく術を身につけ、自分が生きやすくなる選択をする。その結果最終的にそれなりに納得出来る結末になったので「肩の力が抜けた」感覚があったのかなと思いました。

 「毒親育ち」がどんなものなのか、最近はよく言われるようになったのである程度の想像はつきますが、現実では物語のように良い結末では終わらず、助けもなく背負わされた荷物に潰される子供たちもたくさんいるのかもしれないなと感じました。