002. 読書記録「ある男」
2022.9.20
今回は読書記録です。
これもいつかやりたかったことというか、やらねばと思っていたことです。本を読むのはそこそこに好きでこれまでたくさんの本を読んできたはずなんですが、最近ふと、過去に読んだ本の内容や感想をすっかり忘れていたり、ひどい時には「読んだことがある気がするけど記憶にない」というレベルの本もあることに気づき、ショックを受けました。漫然と本を読むのは楽しいし悪いことだとは思わないのですが、それでも本を読んだ時にはその世界に入り込んでそれなりに没入感を得たはずなのに、そのことをすっかり忘れているのは、残念というか情けないです。
一方で、短いながらに感想を書いたり呟いた経験のあるお話は、本に限らず映画でもアニメでも、やはり記憶に残りやすいです。なので、やれる範囲で記録を残してみることにしました。
余談ですが、最近自分がスマホ依存になっていることを自覚していて、ほんのりとスマホを見る時間を減らそうとしています。Twitterで同志の皆さんと話す時間は全然無駄だと思わないんですが、質の悪いネット記事を流し見してしまう習慣を辞めたくて。それで、その時間を読書に充てるべく、久々に本を数冊買いました。読書の秋ですし! うまく行けばしばらくは読書記録を続けたいですが、続かなければ察してください(笑)
前置きが長くなりましたが、今回読んだのは「ある男」(著者:平野啓一郎)です。(以下ネタバレ含みます)
宮崎県のある市のある女性が、再婚した夫を結婚生活三年九ヶ月ほどで亡くしてしまい、ある時夫が名乗っていた名前とは本来は異なる人物であることを知ってしまう。以前世話になった弁護士に調査を依頼して、弁護士が真実に近づいていく。弁護士中心に進んでいく話。
結論を書くと、夫が別人であったのはブローカーを介して戸籍交換をした結果であり、複数人が絡んで複数回の交換を行っていたので、その弁護士はいくつかの人間の人生に絡むことになる。人生とは? 愛することに過去は関係あるのか? みたいなことをしばしば考えながら、真実を知るという話。
真実に近づいていくストーリーそのものも面白いけど、個人的には弁護士が抱く気持ちの表現が結構興味深かったです。例えば、結婚して妻子を持ちある程度安定した生活を送る中で、魅力的な女性が目の前に現れた時に、本気で先に進む気はないけど魅力を感じてしまう自分がいる。もしこれが結婚前に出会っていたら? など考えてしまう。
他にも、弁護士は韓国人の在日三世だけど、日本で育ち韓国に直接の縁や想いはなく、ヘイトスピーチにもそれに対するカウンタースピーチにも、一定の距離を置いている。変に思い入れもしないし、中立的に物事を考え、一方でそれで良いのか(要は、行動を起こさずに傍観者でいることに)悩むような思考もある。
そういう、「誰でも抱きうるけど外には出さない気持ち」を具体的に書いていて「ああ、こういう気持ちを改めて形にされるってなかったかもしれない。こういう気持ちを抱くのは自分だけではなく一般的なんだな」と、弁護士の人間味を感じて身近な存在に感じました。
弁護士に共感できるかどうかは人によると思うけど、私にはとても共感でき、ストーリーそのものの面白さと弁護士の内面を知る中で感じることと、さらに言えばここには書ききれないけど、死刑制度の是非や親の犯罪歴の子どもへの影響など、社会問題や子育て問題にも一時的・部分的に踏み込まれていて、二つ、いや三つ以上? の意味で楽しめた作品でした。
最後、どう考えても弁護士の奥さんが浮気していた事実や、弁護士夫妻の夫婦関係の行方、弁護士が抱えたままはっきりとはさせずに終わった好意など、スッキリしないまま終わった事実が多々あり、「え?! あれどうなったの?」みたいな気持ちでいるけど、そこはご想像にお任せ……なんだろうな。本筋とは関係ない部分でもあるので。
あと関係ないけど、読みながら「謎が多い中、真実に迫っていくストーリー」が好きなんだな、と実感しました……(笑)書くのも読むのもね。
以上、「ある男」の読書記録でした。
改めてこう書いてみると、考えて書く練習にもなるし、読んだ内容が頭で整理されるし、きっとこの本を読んだことは忘れないし、なかなか良い経験になりました! 続けられるといいな。