019. 読書記録「明け方の若者たち

2025.1.25

 『明け方の若者たち』(カツセマサヒコ)の読書記録です。

 あらすじ。主人公は二〇一二年、大学四年生で内定が決まっている者が集まる「勝ち組飲み」に参加し、「彼女」に出会う。彼女の誘いで飲み会を抜け出して一緒に飲むことに。会話の相性が良く自然な流れで二人は男女の仲に。次第に主人公は彼女の魅力にのめり込んでいく。

 社会人になり、希望とは異なるつまらない仕事に配属され、こんなはずではなかったと思いながらもなんとなく動けないまま、彼女との関係を続け数年。ある日、頻繁に連絡を取っていた彼女との連絡が途切れがちになる。彼女は実は既婚者で、夫は海外出張中だった。夫の帰国により二人の関係は終わりを告げる。主人公は最初から彼女の身の上を明かされており承知の上で付き合っていたのだが、それでもいざ別れとなると相当なショックを受けしばらく立ち直れなかった。

 時間と共にどうにか事実を受け入れ、そしてつまらないと言いながら続けた仕事にもなんだかんだ慣れていく。これからもそうやって少しずつ大人になっていくのだと実感する。

 二十代前半は振り返ればラッシュアワーだった……。

 なんというか、誰かの日記を物語風に書いたのかな? と思わせるようなリアルな話でした。特に私は、この主人公と大学卒業年度が近かったり、大学の雰囲気やレベル感も近く、「ああ、こういう大学生、周りにいた」「自分もこんな感じのこと思ってた」と思う内容が多かったです。

 一方で、単調でありふれていて読む手が進まないのも否めなくて……彼女とは不倫関係であったことが読者に明かされるのは半分より後ろなのですが、そこまでは普通に大学生〜社会人のよくある恋愛話が続くなぁ、という印象で、あまり入り込んでいけませんでした。不倫関係が明かされて、「あ、そういう話?」と話に動きが出たのを感じたのですが、そこから盛り上がるわけでもなく、単調に終わっていった印象です。

 ただ、これが多くの人の人生なんですよね。子どもの頃に夢見ていた仕事ではなく、就活で入れたそこそこの企業に入り「このままでいいのか」と自問しながら働き、恋愛もして、恋人に染まったり思い出に浸ったり(不倫関係と割り切っていても思った以上に傷ついたりして)、気持ちも行動もうまいことやっていきながら大人になっていく……みたいな。そういう意味で共感はすごくあって(不倫が共感できるかどうかは別だけど)、この世代の人の思い出話だったり、若い人が感傷に浸るための話なのかなぁと感じました。

 あと、全体を通して文章が柔らかくおしゃれな表現が多く感じました。それも含めて、「意識高い系の文系大学生が社会人になって現実を知り大人になる」みたいな人物像や背景が透けて見える気がしました。

 これもAmazon Unlimitedの対象で、評価がなかなか高かったので読んだのですが、リアリティと表現力と言う意味では高評価が頷けるものの、展開の意外性やハマる要素という意味ではイマイチで、長さの割には時間がかかってしまったし、こうやって記録をつけていなければ多分読んだことを忘れてしまうだろうな……と思いました。