Change

 はるかとうさぎは、二人が生活を共にするマンションに到着した。

「うわぁー! すごいお家!」

 はるかに中に案内されると、うさぎはさらに目を輝かせた。

「ひろーい!! あ、ピアノもバイオリンもあるじゃないですか!いつもここで練習するんですか??」

「たまに、ね」

 はるかは適当な返事をしておく。


 しかし不思議なものだ。見た目はみちるそのものだが、今の姿は童心に返ったと言うか、隙だらけというか、いつものみちるとは全く表情が違う。


 ……出会い方が違っていれば、こういうみちるを見ることもできたのかもな。


 中身が違っているのはわかっているが、いつもと違うみちるを見られた気分で、少し頬が緩んでしまった。

「ふふっ。はるかさん楽しそうですね。

 いつもお二人はどうやって過ごしてるんですか??」

 うさぎが近づいてきてはるかに問う。その顔を見て、はるかに少し悪戯心が芽生えてしまう。


 はるかは壁側にいたうさぎにぐっと顔を寄せた。うさぎは思わず後ずさり、壁に背をつく。

 はるかはそんなうさぎの顔の横に手をつき、もう一方の手でうさぎの手を握る。そして囁いた。

「いつも通りに過ごしてみるかい? 子猫ちゃん」

 うさぎは急な展開に、あからさまに動揺して顔を真っ赤にした。

「えっ?? ええっ?! いつも通りって……」

 しばらく二人は見つめあったまま、じっとしていた。みちる姿のうさぎの目は潤み、顔は火照ったように赤い。はるかは内心、思いもよらないその表情に少しドキッとしていた。


「……冗談だよ。悪かったな」

 はるかはうさぎからパッと手を離して笑った。うさぎはまだドキドキしながら、はるかを見つめていた。

「もう……はるかさん! みちるさんに怒られちゃいますよっ!」

 ドキドキを隠そうと、俯きながらはるかに言った。

「ごめんごめん。でもみちるはこんな事じゃ怒らないよ」

 はるかはリビングの大きなソファに座った。

 え? と聞き返すうさぎにこう答える。

「みちるは僕のことを信じてくれているし、僕はみちるのことを信じてる。最高のパートナーだからね」

 自信満々な顔で答えるはるか。その言葉に、うさぎは、二人から並々ならぬ信頼関係を感じた。


 ――そっか。信頼し合ってるんだなぁ。


「ふふっ。素敵ですね。

 ……で、いつもこんな感じで過ごしてるんですか??」

「それはご想像におまかせするよ」